お嬢さまですもの!
「二組です!」

「やったあ!」


 喜びを爆発させて、わたしはかのんに抱きついた。

 そう、かのんは、あの意地悪だった中辻さんなんだ。

 でも、五年ほどたった今では、関係性も変わって、すっかり仲良しだ。

 お互いに成長したしね。

 わたしは、舞ちゃん以外とは話さない――なんてことはもうないし、かのんも角が取れたというか、やさしくなった気がする。

 でも、わたしはまだ人見知りなところがあるし、思っていることを言葉にするのはまだまだ苦手。

 性格の根っこの部分は、そう簡単には変えられないのかなぁ。


     * * *


「行ってきまーす」


 入学式から一週間が過ぎた朝――。

 わたしは、いつものように家を出た。

 セーラー服もようやく着慣れてきた感じ。


「あら、桜子」

「あっ、舞!」


 門扉を閉めたとき、ちょうど隣の家から出てきた舞と(はち)合わせた。

 高梨(たかなし)舞――家が隣同士の幼なじみで、他人を避けてばかりのわたしを守ってくれた女の子。

 昔はショートカットで、よく日焼けしていて、男の子っぽかった。

 ひとりっ子のわたしは、よく舞にくっついていたから、「兄妹みたいね」なんて言われることもあったほど。

 そんな舞も、今は髪も伸びて、おしとやかな女の子に成長していた。

 そして……舞は中学受験に合格して、私立の礼城女子学院に入学したんだ。
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