お嬢さまですもの!
 礼城女子学院は、同じ礼城町内にあるけれど、頭がよくて、さらに家柄のいい女の子が通う、いわゆるお嬢さま学校だ。

 実際、舞のお家は裕福だと思う。

 敷地は、わたしの家の倍はあるし、ガレージには高級車が二台も止まってるもん。


「おはよう」

「うん、おはよう……」


 何となく気まずさを感じながらも、ふたり並んで歩きはじめる。

 舞の制服は、紺色のワンピースタイプで、白い(えり)と黒のストッキングが上品な印象を与えている。


「そっちはどう? もう慣れた?」

「ちょっとだけ……ね。まだ緊張してるけど、かのんと同じクラスになれたし、楽しくやってるよ。舞は?」

「うん、小学校のときと、ずいぶん変わるものね。何もかも新鮮で、わたしも楽しんでるわ。クラスにお友だちもできたし」

「へえ……」


 本当なら、話題の種はいっぱいあるのに、うわっつらな会話になってしまって、あまり盛り上がらない。

 舞とは小学一年生から四年生までずっと同じクラスだったけれど、五年生に上がったタイミングでクラスが別れた。

 さらに、舞は中学受験のため、塾に通うようになったから、いっしょに遊ぶ機会が減ってしまって……。それで次第に疎遠になっていったんだ。

 中学がバラバラになって、さらにふたりの心が離れてしまったような気がする。

 いつでも会える距離に住んでいるのに、舞は遠い存在になってしまったよう……。
< 12 / 101 >

この作品をシェア

pagetop