お嬢さまですもの!
「まあ……そういう気がないわけじゃないけど、さすがに……ね」


 うん、さすがにそれは無理がある。もっといろいろ言われるだろうし……。

 妙にしんみりした空気が流れると、かのんが「そうだ!」と手を打った。


「理央! アンタ、まだ部活は決めてないんでしょ?」

「うん、ここに空手部はないしなぁ。まだ迷ってるよ」

「じゃあ、『お嬢さま部』にしなよ!」

「ええっ!?」


 理央くんの肩が()ねあがる。


「セーラー服じゃないけど、豪華なドレスを好きなだけ着られるじゃん。理央にはこれ以上ないくらい、好都合な環境じゃない?」

「それは……そうだけど……入部テストあるでしょ? 噂じゃ、ほとんど落とされるらしいし……」


 困ったように、あごに手をやる理央くん。


「なーにビビってんのよ。ダメ元で受けてみりゃいいじゃん」


 かのんには弱い理央くんは、渋々といったように、
「うーん……かのんちゃんが付いてきてくれるなら受けてもいいけど……」
 って言って、小首をかしげた。


「あたしはダメよ。明日からバスケ部の仮入部が始まるもん」


 かのんの視線が、わたしに向けられる。

 ヤバーッ。この展開はマズいよ。


「じゃあ、桜子をお(とも)につけるわよ。だったらイイでしょ?」


 はぁ。やっぱり、そうきたか。
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