お嬢さまですもの!
4 入部テスト
「こっちは旧校舎でしょ? 入っていいの?」


 放課後、わたしと理央くんは、普段使っている校舎の裏側に回りこんでいた。

 目的は、『お嬢さま部』入部テストを受けるため!


「いいんじゃない? お嬢さま部の部室はこっちにあるらしいから……。ほら、やっぱりそうだ」


 理央くんが指さしたのは、昇降口のドアの張り紙だ。

 ――『お嬢さま部』入部テスト会場


「じゃあ、ここでいいんだね。でも、なんかこわいね……」


 わたしは、理央くんといっしょに、おそるおそる中に入った。

 下駄箱のスペースは明かりもなく、真っ暗で、しーんと静まり返っている。

 旧校舎は元々、東棟と西棟に分かれていて、老朽化のため取り壊されることになった。建て替えで新校舎が完成したのが三年前。

 だけど、なぜか取り壊されたのは西棟のみ。

 こうして東棟だけ、ぽつんと残されているんだ。

 担任の先生からは「旧校舎には立ち入らないように」って言われたんだよね。

 かのんがお姉さんから聞いたところでは、東棟は幽霊が出て、工事を邪魔したから取り壊しをあきらめたのだとか……。

 そんな話が頭にあるから、余計にこわい。

 どうか、お化けが出ませんように!


「ようこそ、『お嬢さま部』へ!」

「きゃあ!」


 突然、暗闇から声をかけられて、びっくり!

 わたしは悲鳴をあげて、思わず理央くんの腕にしがみついた。
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