お嬢さまですもの!
「志望動機、軽かったかなあ? 女装を楽しむ部活じゃないとか言われてもさあ、コスプレごっこみたいなことやってて、そりゃないぜ、って感じだよね」

「わたし、理央くんの動機が軽かったとは思わないよ。それに……あくまで部活なんだから、楽しむために入っていいじゃんね?」


 緊張から解放されたわたしたちは、いっしょに帰りながら、『お嬢さま部』の悪口をこれでもかと言い合った。

 スッキリしたものの、入部できないことに変わりはない。


「それにしても……よくわからない部だよね。結局、入部できた子はひとりもいなかったみたいだし……。新入部員が入らなくてもいいのかな?」


 わたしが首をひねると、理央くんはため息をつきながら言った。


「かなり人を選んでるみたいだし、何が何でも新入部員を入れたいわけでもないんじゃない?」

「どういうこと……?」


 わたしがたずねると、理央くんは声を落とした。


「うちの道場に来てる上級生にも聞いてみたけど、伝統があって、人気もあるのに謎だらけで、実体をよく知る人はいないんだよね。それはやっぱり、部員が極めて少ないからだよ。それでも長年、部として存続できているのは、学校が異常なほど肩入れしてるからだと思う」

「肩入れ……?」

「旧校舎をまるまる使えてる優遇っぷりもそうだし、あの部室の豪華さ見たでしょ? ドレスだって何着も用意するのはお金かかるよ。部の予算でまかなえるとも思えない。これはあくまで僕の推理に過ぎないけど……」

「うんうん、聞かせて!」


 興味しんしんで、理央くんの話をうながすわたし。
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