お嬢さまですもの!
《許してあげるよ》


 ハートマークを添えて返信すると、連続でかのんのメッセージ。


《ありがとう!》

《だけど惜しかったね。『お嬢さま部』のOGは出世したり、玉の輿(こし)で金持ちと結婚した人が多いんだって!》


 それは初耳だよ。

 もっと知りたくて、返信する。


《そうなの?》


 すると、かのんはすぐに教えてくれた。


《バスケ部の先輩たちから聞いた情報! 入部した人は、みんな生き生きとした女性になれるんだって!》


 本当にそうかなぁ?

 高飛車な態度だった九条先輩と宝来先輩の様子が思い浮かんで、どうも納得がいかない。


《桜子、落ちて悔しいんでしょ? だったら、あきらめるのは早い!》


 え……?


《一回入部テストに落ちた人が、再テストを願い出て、受かったパターンもあるらしいよ》


 心臓がどくん、どくんと早鐘(はやがね)を打ちはじめた。

 もう二度と、あの旧校舎には足を踏み入れないだろうと思っていたけれど……。

 入部のことはさておき、確かめたいことがある。

『お嬢さま部』の先輩たちにまた会うのはこわい。

 だけど、ここで勇気を出さなきゃ!

 ずっと記憶の中にいるミレーヌのこと、少しでも知りたいんだ。

 かのんはまったく意図してないだろうけど、また背中を押されちゃった。


《ありがとうね、かのん》


 そう返信して、わたしは再び、机の引き出しからミレーヌのハンカチを取り出した。
< 41 / 101 >

この作品をシェア

pagetop