お嬢さまですもの!
7 明かされる真実
「失礼します!」


 旧校舎の四階――音楽室。

 ノックしてから、やや乱暴に戸を開けた雪平先輩に手を引かれ、中に入るわたし。


「九条先輩!」


 興奮を隠しきれないといったように雪平先輩が声を荒げる。


「な、何事ですか!?」


 ぎょっとして目を見開いたのは、ソファに座って紅茶を飲んでいた九条先輩。

 今日は黄色いドレスに身を包んでいる。


「雪平! 部室に入ってくるときは、執事モードでなければ困りますわ! いつも言ってあるでしょう?」

「いや、それどころじゃないッスよ! 大変なことが……」

「お黙りなさい!」


 雪平先輩の言葉をさえぎって、ぴしゃりと叱りつける九条先輩。


「……というより、なぜ部外者を連れこんだのですか?」


 じろりと、わたしを見やる九条先輩。

 雪平先輩はようやくわたしの手を放して、必死に説明しようとする。


「だから大変なんですって! こいつは、あの御方を――」


 ガラッ。

 戸が開いて、制服姿の宝来先輩が入ってきた。


「失礼しま~す。ああ、雪平くん、裏門の花壇の水やり忘れたでしょ~? 代わりに、あたしがやっておいたわよ」


 口をとがらせながら注意した宝来先輩の動きが止まった。


「ありゃ……? なんで部外者がいるの……?」


 九条先輩が立ち上がって、ヒステリックに叫んだ。


「あなたたち! 部室に入ってくるときは、先に着替えてきなさい! お嬢さまと執事になりきりなさいな! たるんでますわよ!」


 部室に、九条先輩のカミナリが落ちた。
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