お嬢さまですもの!
「それでね、理央くんも、明日もう一度、入部テスト受けてみない?」

「え……?」


 理央くんが目を丸くすると、かのんが口をはさんだ。


「桜子が頼んでくれたんだって。感謝しなよ~。てか、桜子に再テストを願い出るよう勧めたのは、あたしだもんね。あたしって、スゴくない?」


 自画自賛するかのんを見て、苦笑するわたしと理央くん。


「いや、まあ、僕は柔道部に仮入部しちゃったしなぁ」

「仮入部なんだから辞められるでしょ。再テスト受けてみなよ」


 かのんの言葉に、わたしも同調する。


「うん、わたしが受かったんだから、理央くんも大丈夫だよ」


 わたしが理央くんに再テストをこんなにも勧めるのは、ひとりで入部するのは、やっぱり心細いから……。

 わたしってズルいかも。

 でも……ただの部活じゃなくて、異世界との外交を(にな)っているんだもの。理央くんがいっしょに入ってくれたら、こんなに心強いことはないよ。

 理央くんは『お嬢さま部』のことを「お金持ちのスポンサーがいるんじゃないか」って推理していたけれど、公立中学の部室があんなに豪華だったり、学校に優遇されているのは、異世界との交流があったからなんだ。

 真実を知ったら、理央くんはどういう反応をするかな?

 理央くんは、つかみどころがなかったりするから、ちょっと想像つかない。
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