お嬢さまですもの!
10 再会のとき
「さあ、本日は異世界交流の日です。みなさん、準備はよろしくて?」

「「「「はい!」」」」


 芽亜里さまの呼びかけに、みんなで元気よく返事する。

 四月の最終日の火曜日――ゴールデンウィークに入っているから祝日だけれど、『お嬢さま部』の部員は全員、旧校舎のドレッシングルームにあつまっていた。

 女子はそれぞれ、今日のために準備していたドレスで着飾っている。

 わたしはピンクのドレスを身にまとい、髪をきれいにセットして、大きな黄色いリボンもつけた。

 理央はいつものようにメイド服を着て、グレーのウィッグをつけている。

 今日はあいにくの曇り空で、窓から射しこむ光は心許(こころもと)ない。

 時計を見れば、あと五分で午後四時だ。

 いよいよだよ!

 胸が高鳴る。


「あっ……そういえば、奥田先生がまだいらっしゃってませんわね?」


 杏奈さまが、戸の方に目を向けた。

 えっ、奥田先生って、一年生の国語を担当している先生のこと……?

 眼鏡をかけていて、いつも髪はボサボサの、冴えないおじさん……といった感じだけど、ゆったりした話し方が癒しオーラあるということで、意外と生徒人気は高い。

 ガラッ!

 戸を開けたのは、まさに、その奥田先生だった。


「おっ、間に合ったかな?」


 奥田先生は何やら本を抱えて、のっそりと入ってきた。
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