夏に願いを
その後も、三年対一年という試合としては善戦したが、なんのことはない、僕はあっけなく負けてしまった。
当たり前といえば当たり前の結果だった。何点かは取れたものの同点に持ち込めた場面すらなく、加藤先輩も、池田先輩も、部長に至っては、まるで歯が立たなかった。最後のほうはレギュラーじゃない先輩に体力の限界でボロ負けして、しまいにはこむら返りで棄権という情けなさ。

誰だよ、本気出したら勝てるなんて思ったやつ。僕だよ。
僕は、皆のプレイスタイルや弱点は知っているくせに、本気でやった時の自分を全く知らなかった。相手データしかなくて、勝てるわけがなかった。
今日、叶居さんが見に来ていなくて本当に良かった。こんなところ見られたら、また失望されてしまうところだった。軽くなったドリンクホルダーの蓋を開けて最後の一滴を喉に流し込み、カラカラに乾いて涙も出ない悔しさを飲み干した。
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