恋愛方程式
勉強というものは暗記力が試され、しかも一度にたくさんの教科のことを詰め込まれるため、苦手意識を覚える生徒は少なくない。高校一年生の初音日向(はつねひなた)もその一人である。

日向は目の前に置かれたプリントを見つめる。もうすぐ行われる中間テストに関するプリントだ。しかし、日向は一向に問題を解くことができない。

問い十

方程式3x−4=5x+8の解を求めよ

数学の十問目でシャーペンで答えを書く手は止まり、目の前に現れた方程式を見つめる。日向の頭の中は徐々に混乱しつつあった。額に嫌な汗が浮かぶ。

(えっ?これってどうやって求めるんだっけ?さっきまでは楽勝だったのに〜!)

日向の通う学校は、特別偏差値が高いわけではない。むしろ逆に勉強の苦手な生徒や中学生の頃は不登校気味だった生徒が通っている。そのため、先ほどまで数学の問題は中学一年生の最初に学ぶ正の数と負の数の計算問題だった。

正の数負の数の計算はまだ解けるのだが、日向は数学が五教科の中で一番苦手としている。数字や数式を見るだけでも脳が拒絶反応を起こし、テストでは毎回赤点を取るほどである。
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