英雄は時を駆ける~エリート将軍の年上花嫁~
 しばらくして、寝室のドアが開いた。そこに立っていたシャルルはリリアーヌを見て目を丸くして、泣きそうにも見える笑みを浮かべた。

「来てくれたのか」
「はい。私も、こうしたいと思ったので」
「……きっと僕はその言葉を、聞きたかったんだな」

 ドアを閉めたシャルルがリリアーヌの隣に座り、腰を抱かれる。

 間近で見る彼の青の目は、澄んだ色をしている。だがその奥に何かちらちらと燃えるものが見え隠れしていることに、リリアーヌは気づいていた。

「僕の求婚を受けてくれて、僕のそばにいてくれて……ありがとう」
「シャルル様……」
「二人きりのときだけでいいから、僕のことはシャルルと呼んで。……大切にするよ、リリィ」

 シャルルに促されたリリアーヌはうなずいて、「シャルル」と緊張しつつ夫の名前を呼んだ――が、すかさず唇が塞がれて、先ほどの三回の口づけとは比べものにならないほどの情熱と愛情がこもったキスが与えられた。








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