英雄は時を駆ける~エリート将軍の年上花嫁~
そんな様を、まさに文字通り高みの見物をしながら見守っていたオーレリアンだが――ふと、二人の近くの茂みが揺れた。
(……何だ?)
冬の風のせいか……と思ったが、そうではない。
――シャルルが持つカンテラの明かりを受けて、茂みの奥の何かがぎらりと輝くのを見た瞬間、オーレリアンは窓を叩き開けていた。
「シャルル、リリアーヌ! 誰かいる!」
オーレリアンがいきなり叫んだためか、二人はぎょっとしたようにこちらを見て――そして、茂みが大きく揺れた。
「くそっ……!」
オーレリアンは窓枠に足をかけて、腰から下げた投擲用のナイフを抜くが――それよりも、茂みから飛び出した者の動きの方が早かった。
ナイフを構えた黒ずくめの人物が、飛びかかる。狙いは、豪華な軍服を着ているシャルルの方で――
「シャルル様!」
持っていたものを放り出して、リリアーヌが躍り出た。
両腕を広げて、カンテラとマフラーを持つために両手が塞がっているシャルルの前に立ち塞がり――
ザクッ、という音が響き、赤い血筋が舞う。
よろめいたリリアーヌが仰向けに倒れたことで彼女の顔が血で真っ赤になっているのが見えて、オーレリアンは心臓が止まるかと思った。
「リリアーヌ!」
シャルルもまた両手のものを投げ捨てて、リリアーヌの体を抱きかかえた。
オーレリアンはチッと舌打ちし、投擲ナイフを投げた。不審者も、隊長格の男を狙ったのに武装をしていない女がかばったことで一瞬だけひるんでいたようで、オーレリアンが投げたナイフが肩に刺さった。
悲鳴を上げて不審者が逃げていった直後、カンカンカンカン、というけたたましい音が砦に響いた。侵入者の存在を知らせる警報だ。
(……何だ?)
冬の風のせいか……と思ったが、そうではない。
――シャルルが持つカンテラの明かりを受けて、茂みの奥の何かがぎらりと輝くのを見た瞬間、オーレリアンは窓を叩き開けていた。
「シャルル、リリアーヌ! 誰かいる!」
オーレリアンがいきなり叫んだためか、二人はぎょっとしたようにこちらを見て――そして、茂みが大きく揺れた。
「くそっ……!」
オーレリアンは窓枠に足をかけて、腰から下げた投擲用のナイフを抜くが――それよりも、茂みから飛び出した者の動きの方が早かった。
ナイフを構えた黒ずくめの人物が、飛びかかる。狙いは、豪華な軍服を着ているシャルルの方で――
「シャルル様!」
持っていたものを放り出して、リリアーヌが躍り出た。
両腕を広げて、カンテラとマフラーを持つために両手が塞がっているシャルルの前に立ち塞がり――
ザクッ、という音が響き、赤い血筋が舞う。
よろめいたリリアーヌが仰向けに倒れたことで彼女の顔が血で真っ赤になっているのが見えて、オーレリアンは心臓が止まるかと思った。
「リリアーヌ!」
シャルルもまた両手のものを投げ捨てて、リリアーヌの体を抱きかかえた。
オーレリアンはチッと舌打ちし、投擲ナイフを投げた。不審者も、隊長格の男を狙ったのに武装をしていない女がかばったことで一瞬だけひるんでいたようで、オーレリアンが投げたナイフが肩に刺さった。
悲鳴を上げて不審者が逃げていった直後、カンカンカンカン、というけたたましい音が砦に響いた。侵入者の存在を知らせる警報だ。