英雄は時を駆ける~エリート将軍の年上花嫁~
 ブラン伯爵領にデュノア公爵家の使者がやってきたのは、双子が一歳の誕生日を迎えてしばらく経った冬の終わりのことだった。

「シャルル様が、離婚されました」

 使者の言葉に、ついにやってしまったか、とオーレリアンは顔をしかめた。

 話を聞けば、シャルルは嫁いできた妻にほとんど触れることがなく、怒った妻が離縁を申し出て実家に帰ってしまったそうだ。

 相手の両親は娘をぞんざいに扱われたと怒ったそうだが、最初からシャルルが乗り気ではなかった結婚だ。息子を溺愛するデュノア公爵も、押しかけ同然に嫁に来たのはそちらだろう、と言い返したという。

 そこまでなら、よその貴族のお家騒動だと聞き流せばいいのに。

「公爵閣下が、伯爵夫妻をお呼びです」

 ……そう言われて、嫌な予感がした。
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