秘密の好き、先生との約束
先生のその笑顔に私思わず微笑んでしまう。

「何笑ってんだ〜?」

「なんでもないですよ。あと、特にお話することって」

「そうだなぁ、お前が悩んでたり困ってること無かったら次のやつと交代なんだけど、そんなお前もうひとつだけ質問」

「はい、何でしょう」

「進路のことで、親とまだ話せない感じか?」

「やっぱり、その話ですか?…ろくに親と会話できてなくて……聞き入れてもらえるかも分かりません」

そうなのかぁって先生は言う。三者面談で多分こういう話するからなるべく親子の会話はしておいて欲しいって言ってきた。
頼むよ〜って。先生はそう言っておちゃめな顔して…
私としては先生のためにも親と会話したいけど進路の話なんて多分できない。

「とりあえず、斎藤…話は以上。お前から何か話しておきたいことあるか?」

「いや、大丈夫です。今年もよろしくお願いします」

「真面目だな〜。このクラスは斎藤が複数人いるから呼び分けが大変だからたまに下の名前で呼ぶことになるけど許してくれ」

って、私にとっては最高の出来事ですから大丈夫です。
なんて言えないけど、全然大丈夫ですよって答えておいた。
先生は私にとって家での居たくない気持ちを消してくれるそんな存在でもありますから。

「じゃあ、次の……って次も斎藤だ、じゃあ次のやつ呼んできてくれ」

たった数分かもしれないけど
この数分も私にとって大事な時間です。
< 10 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop