雨のち、恋。
なるほど確かに、私たちにしか分からないことだ。

確かに細部までこだわった結婚式を上げると、際限なくお金をかけられてしまうのが挙式というものだ。

私たちの同級生で結婚式を挙げたのは、比較的細部にこだわった人たちが多い。

夫婦共々医療関係者だったり、片方が財閥の次期当主だったり。

両方がTV業界関係者で、忙しい合間を縫って式を挙げたり。

演出や料理、余興など、どこかしらに妥協したくないポイントを持っていた。

それを分かっているのか、昨今では挙式自体をしない選択をするカップルもたくさんいる。

そんなカップルには、フォトウェディングだったり、会場を貸し切っての食事会を提案している。

式は挙げなくても、晴れ姿を見せられなかった後悔をする新婦は意外に多いのだ。

どんな形で感謝を伝えたいか、その言葉にならない希望を聞き出すこと。

そして、それに寄り添い、希望を叶えるのがウェディングプランナーの仕事だ。

改めて、休みの日に仕事の意義を再確認することになるとは思わなかった。

何だか休みの日まで仕事をすることになるとは思わなかった、と軽く息を吐いた三上。

彼が席を立つと、夏南センセイは私の隣の席に座った。


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