雨のち、恋。
いつの間にか眠ってしまったようだった。

風通しの良いパイル地のシャツとボトムスを着用していた。

こんな部屋着は私のものではない。

そして、家の内装も、私の家とは全然違った。

ベッドとテーブル、クローゼットだけのシンプルな部屋。

すぐにでも引っ越せそうなくらいだった。

引っ越さなくても、誰かと住めそうなくらいの広さはあった。

1LDKくらいなのに、リビングは広めに取られていたし、キッチンも広かった。

フライ返しや鍋、フライパンやエッグパンまで揃っていて、自炊している姿も容易に想像できた。

見かけによらず、器用なんだなぁ。


お酒の力を借りて寝落ちしたようなものなので、寝覚めは良くはなかった。

それでも、起きなければ。

「あ、華恋先輩。
目が覚めました?

とりあえず、シャワー浴びます?

その間に、軽く朝飯作りますから。
苦手なものとか、ないですよね?」

なぜだろう。

知らないうちに、目から一筋の涙が溢れた。

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