雨のち、恋。
その日のお昼。

ランチセットのガレットを前に、彼女の表情は沈んでいた。

せっかくだから流行りのものを、と三上までガレットを頼んでいた。

窓の外の降りしきる雨と、どんよりした空。

その空模様をそのまま目の前に現れたみたいだ。

彼女の着ている太陽のようなオレンジブラウスにベージュのスカートという服装には似つかわしくない。

かくいう私も、急だったので、夏南センセイが貸してくれたボーダーのトップス、ネイビーのスカートにロイヤルブルーのカーディガンを羽織っている。

「何となく、豪華な式は挙げたくなくてね。
私としては、ささやかでいいのよね。

豪華な式より、家族や親族に感謝を伝える場を大事にしたいの。

華恋ちゃんや親太朗が経験した人たちは、どんな感じだったのか聞きたくてね」

聞きたかったこととは、それだったのか。

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