パパに会いたいだけなのに!
「ショーンさん入りまーす!」
スタジオでその声を聞いて、大きく深呼吸する。
「どうしよう、よく考えたらこの前ショーンに〝オジサン〟とか言っちゃったし」
「今さら気にすんなよ。だいたいショーンがオジサンなのは事実だし」
拓斗が笑い飛ばす。
そんな風に話していると、なんとショーンの方から私たちの方ところへやって来た。
「あー……拓斗、理澄、それからなんだっけ、お前、えーっと」
「お前じゃなくて、虹瀬です」
相変わらずの態度の大きさにムッとしてしまう。
「げ! お前、虹瀬っていうのかよ!? よりによって嫌な名字だな」
「は?」
ショーンは一体何しに私たちのところへ来たんだろう。
ママの名字を〝嫌な〟なんて言われて思わずカチンと来そうになる。
「よりによって、昔フラれた女の名前なんて」
え……? それってもしかして。
「ショーンさん! 謝るんでしょ!」
ショーンのマネージャーが耳打ちするのが聞こえた。
「お、おう、そうだったな」
ショーンは「ゴクッ」ツバを飲んだ。
「拓斗、理澄、それから、に、虹瀬くん」
わたしたち三人の視線がショーンに集まる。
「今回の件は、なんていうか、その」
ものすごーくしどろもどろだ。

「ご、ごめん……な」

とっても小さな声で、ショーンはポツリと謝罪の言葉を口にした。
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