パパに会いたいだけなのに!
「え?」
声の方向に顔を向ける。
「え!?」
そこにあった顔に驚きを隠すのは無理だった。
「このお弁当、とってもおいしいのに。相変わらず失礼なやつだな、ショーンは」
「げっ。会いたくないやつのお出ましかよ。ったく、なんでこんなやつのドラマに出なきゃいけないんだよ」
「僕がショーンのために協力してやってるんだけど」
モッサリしていたレオさんは髪を切ってさっぱりした見た目になっていた。
「レオさん、その髪形、それに——」
わたしが固まっていると、レオさんはニコッと微笑んだ。
「今回の役は、最後に優しい先生になるっていう役だからね。見た目も怖くないさわやかな先生になってきたよ」
「さ、さわやかっていうか……」
「ところで僕もお弁当が食べたいんだけど、ショーンの分、食べないならもらっていいかな」
「食べないとは言ってない! お前なんかにやらねーよ」
ショーンとレオさんはどうやら仲が良くないようだ。
「あ、あの! あります! レオさんの分も!」
「本当? うれしいな」
嘘でしょ? レオさんの見た目が30代くらいになってるし、これってまるで……。
お昼を食べる間中、わたしの視線はレオさんに釘付けになっていた。
拓斗はどうしてか平然としてるけど、理澄くんも驚いている。
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