パパに会いたいだけなのに!
「じゃあ、午後の撮影頑張ろうか」
お昼が終わると、レオさんは撮影の打ち合わせでスタジオに向かっていった。
「ね、ねえ、拓斗。これってどういうこと?」
拓斗の服の裾を引っぱる。
「果音が思ってる通りだと思うけど」
「じゃあ……」
心臓が、ドキドキしてる。
「この前の医務室でのレオさんの反応見ただろ? 女の子の姿の果音を見て驚いてた。果音の母さんって、本名は〝響子〟だったよな?」
拓斗の質問に、コクコクとうなずく。

——『え……キョウ——』

「じゃ、じゃあ、もしかしてあれって……〝響子〟って言おうとしたの?」
「多分そうだと思う。それに俺、鳴川さんの言ってたことも気になってレオさんのこと調べたんだ。そしたら——」

わたしはこれ以上ないってくらい心臓をドキドキさせたまま、ドラマの最終回の撮影を見守った。
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