パパに会いたいだけなのに!

Stage2 パパに会いたいだけなのに!

「で、ケガは?」
タクトという彼に少し心配そうに聞かれた場所は、なんとムジカエンターテイメントの建物の中。
細長い机とたくさんのイスがある、狭い会議室のような部屋だ。
予想もしなかった形でショーンの事務所に入ることができて、また心臓がドキドキしてる。
それにしても……簡単にこの事務所に入れてしまった彼らは一体誰? 二人ともわたしと同い年くらいに見えるけど。さっき、女の子たちがキャーキャー言ってた……?
「おい、聞いてんの?」
イラだった声に、ハッとする。
「あ! えっと! 大丈夫です!」
わたしの言葉に、彼はホッとしたようだった。
彼は澄んだアーモンドアイをしていて、目力の強い、なんだか妙にきれいな顔立ちをしている。あらためてよく見ると髪は漆黒って感じのツヤツヤの黒。
「ところでお前、どこのグループ? レッスン行かなくて大丈夫なのか?」
「え?」
「いや、見たことない子だから、どこのグループでもないんじゃないか? ユースの子?」
今度はリズムと呼ばれていた男の子がわたしを見て言う。タクトくんより落ち着いた人みたい。
彼も切れ長の目にスッと通った鼻で、茶色い髪もどこか品がある。
二人とも間違いなくイケメンだと思う。
それにしても、二人の言っている意味はさっぱりわからない。
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