パパに会いたいだけなのに!
「男の子のアイドルって興味ないので……あ、でもそういえばCMとかで見たことがあるようなないような」
なんだガクッと力が抜けたように肩を落としてしている拓斗くんに申し訳なくなってしまう。
「ぷっ! あはは」
わたしたちの様子を見ていた理澄くんが笑い出した。
「僕たちもまだまだだったみたいだね」
笑う理澄くんの隣で、拓斗くんはムスッとしている。
「だったらなんであんなとこにいたんだよ」
拓斗くんの指摘にギクリとする。
「えーっと……それはぁ」
〝この建物に侵入しようとしてました〟なんて言えるわけない。
「なんだよ、なんかはっきりしないな」
「えっと……そのぉ……お弁当をぉ」
「弁当?」
わたしはショーンにお弁当を届けに……って!
「そういえばお弁当、さっきぶつかったときに落としちゃったんだった!」
サーッと顔から血の気が引いていく。
ランチバッグをバッと手に取って中を見る。
ランチボックスはバッグの中で横倒しで、開けるまでもなく中身がぐちゃぐちゃになっているんだろうなってわかってしまう。
「そんなぁ……」
< 16 / 118 >

この作品をシェア

pagetop