パパに会いたいだけなのに!
「げ。昼メシ食べそこねたから……」
どうやら拓斗くんのお腹の音だったらしく、今度は私が「ふっ」と笑ってしまった。
「なんだよ」
「あ、ごめんなさい。アイドルでもお腹が鳴るんだと思って」
変なところに感心して、おかしくてつい笑ってしまった。
「当たり前だろ? 人間なんだから」
拓斗くんはムスッとしてる。
「まあでも、泣き止んだなら良かったな」
彼にぶっきらぼうに言われて、涙が止まったことに気づく。
「にしても腹減ったな」
「拓斗がお弁当食べなかったのが悪いんだろ?」
「だってマズいじゃん、テレビ局の弁当って」
「そんなことないよ。今日のハンバーグ弁当は三ツ星レストラン監修で、みんなおいしいって言って食べてたよ」
「俺にはおいしくないんだからしょうがないだろ?」
「好き嫌いが多すぎるんだよ、拓斗は」
「そんなことないって!」
ハンバーグ……。
二人の会話を聞いていたら、またショーンのお弁当のことを思い出して悲しくなってしまった。
「ふうっ」ってため息が出てしまう。
「おい、それ、弁当なんだよな?」
「え? はい。でも、きっとぐちゃぐちゃになってしまったから、もう捨てますけど」
「捨てるくらいなら俺にくれよ」
「は!?」
「だから、俺が食べるって言ってんの!」
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