パパに会いたいだけなのに!
「え? まさか、ショーンさんなの? レッグの?」
理澄くんの驚いた顔を見て、ハッとする。
ショーンがパパだってことは絶対ヒミツだし、そもそもまだ確かめてなかったんだ! って。
わたしは急いで首をぶんぶん横に振って否定する。
「ち、違います! えーっと、パパはショ、少年(ショーネン)のような人で! ここの事務所の普通の会社員です!」
われながら、なんだか変な言い方になってしまった気がする。
二人の疑ったような視線がわたしに集中する。
「なんかあやしいんだよな、さっきから」
「さっき、〝ショーン〟って言って泣き出したような?」
何も言えず、首をぶんぶん振り続ける。
「父親がここの事務所のスタッフだって言うんなら、どうして変装するみたいに帽子なんかかぶってたんだよ」
「お父さんにお弁当を届けるだけなら、正面エントランスから入れるはずだしね」
……う、するどい。
だけど、ショーンの〝隠し子〟ってことがバレたら絶対にダメだってさすがにわかる。
「ショーンなんて知らないです……」
「ふーん……そっか。そうだよな、ショーンが結婚してるなんて聞いたことないし」
拓斗くんは納得してくれたようで、ホッと胸をなでおろす。
「じゃあ、お前のことは警備員さんに突き出さないとな」
「え!?」
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