パパに会いたいだけなのに!
「だって、事務所の裏口の近くで変装してキョロキョロしてる女子なんて、悪質な追っかけくらいだし」
「え、ち、ちが……!」
「お前の父親がうちのスタッフだったら、警備員さんに名前言えばわかるだろうし」
拓斗くんは意地悪な顔でニヤリと笑っている。
ど、どうしよう……。
「なあ理澄、もしもコイツが不法侵入の追っかけだった場合ってどうなるんだ?」
「拓斗、コイツなんて言い方はダメだよ。うーん、そうだなぁ……きっと僕たちと同じくらいの年齢だと思うから、親と学校には間違いなく連絡が行くだろうね」
冷静な理澄くんの言葉に、わたしの頭にママの顔が浮かぶ。
学校にも連絡が行っちゃうなんて、絶対にママが悲しんだり困ったりしちゃうよ。
わたしはゴクっとツバを飲んだ。
「あ、あの……誰にも言わないって、約束してくれますか?」
観念して、二人に事情を説明することにした。

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