パパに会いたいだけなのに!
♪♪♪

「今度こそ帰ります。迷惑かけちゃってごめんなさい。お弁当もぐちゃぐちゃなのに食べてもらえて、ムダにならなくて良かったです」
泣き止んだから、ドアの前でぺこりと頭を下げた。
「お前さあ——」
ドアノブに手をかけたタイミングで、拓斗くんに声をかけられて振り向く。
「俺のマネージャーやらない?」
彼が何を言っているのかわからなかった。
「まねーじゃー……?」
拓斗くんのとなりの理澄くんも同じみたいで、拓斗くんの顔を見てキョトンとしている。
「は? 拓斗、何言ってるんだよ。俺たちにはマネージャーがいるだろ!?」
「うん、だから料理専門の」
「料理専門?」
「お前だって知ってるだろ? 俺、テレビ局の弁当って全然好きじゃないって。だけど、コイツの弁当はすげーうまかったから」
なんとなく、ほめられているのはわかったけど……
「な、何言ってるんですか!? わたし、中学生なんですよ? 学校に通ってるんです」
「もうすぐ夏休みだろ? その間だけでもいいからさ。俺、もうすぐドラマの撮影が始まるんだけど、そん時の昼メシがおいしくないとやる気出ないから」
「おい拓斗! その話は明日の記者会見までヒミツだろ!」
「そ、事務所と関係者以外にはまだヒミツ。だけどもう言っちゃったから」
「え……」
「今からお前も関係者な」
拓斗くんはイタズラっぽく笑ってる。
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