パパに会いたいだけなのに!
「は!? 無理です! 夏休みだって宿題とか忙しいし!」
「じゃあ、言っちゃおうかな〜……不法侵入したやつがいるって」
「え!?」
「警備員さーん!」
「わー!! ちょっと!」
必死で拓斗くんの口を押さえる。
手をつかんでグイッとはがした拓斗くんが、わたしの顔をのぞき込む。
やっぱりきれいな顔でついつい顔が赤くなってしまう。
「お前にとっても悪い話じゃないと思うぜ?」
「え……」
「俺のマネージャーになれば、この建物には入り放題だし、フィリックはレッグと一緒の音楽番組なんかにも出るから、ショーンに会うチャンスなんていくらでも作れる」
ショーンに会うチャンス……思わずノドが「ゴクリ」と鳴ってしまった。
「父親かどうか確かめる絶好のチャンスじゃね?」
わたしの頭の中で、ママの顔とショーンの顔と拓斗くんと理澄くんの顔と、それからなぜか学校の先生の顔までぐるぐるしている。
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