パパに会いたいだけなのに!
アイドルのマネージャーなんて全然意味がわからない。
だけどこのチャンスを逃したら、ショーンに会うチャンスなんて二度と無いかもしれない。
「料理だけでいいんですね?」
「うん」
「え、君! 拓斗! 女の子のマネージャーなんてダメに決まってるだろ!」
「大丈夫だろ。コイツ、俺たちのことなんてぜーんぜん知らないくらいアイドルに興味ないみたいだし」
どこか嫌味っぽい言い方の拓斗くん。だけど、気になるのはそんなことじゃなくて。
「あの!」
「ん?」
「わたしは〝お前〟でも〝コイツ〟でもないです! 七瀬果音です」
さっきからくり返される拓斗くんの失礼な呼び方に、思わず語気を強めながら言ってしまった。
「あ、悪かった。ごめん、果音」
素直に謝ってあっさり下の名前で呼びすてにしてくるから、またドキッとしてしまう。
「あ、あの! 手、はなしてください!」
さっきからずーっと口からはがされた手はにぎられっぱなしだった。
「なんか顔が赤い」
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