パパに会いたいだけなのに!
「よーし昼メシの続きー」
さっきまでとは別人のような無邪気な表情で、拓斗くんが理澄くんと一緒に戻ってくる。
思わず拓斗くんの顔をまじまじと見てしまう。
「なんだよ。顔になんかついてる?」
「歌ってるときと全然違う人みたいだなって思って」
「どういう意味だよ」
「歌ってるときはかっこいいって意味です」
「お? ほめてる?」
わかりやすく明るい表情になる。
「普段はかっこよくないって意味なんじゃないか?」
「おい」
今度は不機嫌な表情。やっぱり歌ってるときと全然ちがってちょっとおもしろい。
「拓斗くーん! 立ち位置の確認もう一回お願い」
「はーい」
呼ばれた拓斗くんはステージに戻って行った。
「二人とも、よく食べた直後に踊れますね」
サンドイッチを食べている理澄くんに話しかける。
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