パパに会いたいだけなのに!
「え? 何?」
「レッグだよ」
打ち合わせから戻ってきた拓斗くんの言葉に心臓が飛び出しそうなくらいドキッとする。
「レッグってことは——」
「ああ、ショーンが入ってくる」
「え!? え!? どうしよう、心の準備が」
「先に言っとくけど、ショーンに会ったらがっかりするかもしれないからな」
「え? どういう意味?」
拓斗くんの方を見上げると、彼はため息まじりの言いにくそうな顔をしている。
「多分、すぐにわかる」
視線を入り口の方に戻すと、銀色の髪が目に入った。
ショーンだ……!
こんなところで「わたしのパパじゃないですか?」なんて言うわけにはいかないけど、こんなに早く会えるなんて思わなかった。
パパかもしれない人だし、動画で見た以上にきれいな顔をしていて、心臓がさっきからずっとドキドキしっぱなし。

超かっこい——

「なんだよ今日のセット、ダサすぎ。衣装もなんかかっこ悪いし、他のに変えらんないの?」
ショーンの口から、信じられないような言葉が飛び出した。
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