パパに会いたいだけなのに!
「ショーンさーん、おはようございまーす」
わたしも顔を知っているような女性歌手がショーンに近づいて甘えた声であいさつをした。芸能界では何時でもあいさつは「おはよう」なんだって、拓斗くんが教えてくれた。
「ニイナちゃん今日の衣装もかわいいねー」
さっきまでの不機嫌そうな声と全然違う、明るい声でショーンが応える。
「今度また食事でも行こうよ。ニイナちゃんの友だちも誘ってよ」
「は〜い! 楽しみにしてまーす」
そのやりとりに、わたしはまた信じられないって気持ちになった。
「ショーンって性格悪いだけじゃなくて……」
「めちゃくちゃモテるし、女の人が大好きらしい」
サーっと顔から血の気が引いてしまった。
「果音ちゃん、なんか顔が青いけど」
「ショーンの女好きって、週刊誌にもよく載ってて有名なのに」
「そ、そんなの読まないもん!」
ショーンが性格が悪くて遊び人だなんて、全然想像もしなかった。
「でも俺、ショーンってけっこう好き」
拓斗くんはそう言うと、ショーンの方に向かって行った。
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