パパに会いたいだけなのに!
「優しくて包容力がある人がいいわね、やっぱり」
「優しいって、えっと、女の子にだけ優しいとか?」
「何言ってるの? 誰にだって優しい人が良いに決まってるでしょ」
ママの答えにホッとした。
「それから、何か夢や目標がある人が好きかな」
「夢?」
「うん。果音のパパもそういう人だったのよ。大きな夢があって、目がキラキラした人」
「え」
「パパのことが聞きたいんでしょ?」
ママは眉を下げて笑ってる。
「バレたか……」
「果音の考えてることなんて、お見通し」
「じゃ、じゃあ、パパも優しかった?」
ママは笑ったままうなずいた。
「とっても優しい人よ」
「でも……」
〝ママとは結婚してくれなかったんだよね〟って、ノドのところまで出かかったけど飲み込んだ。

パパの話をしているママはニコニコしてて、やっぱり今でも好きなんだって伝わってくる。
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