パパに会いたいだけなのに!
「えー! いいなあ! 全国のフィリックファンがうらやましがるよー」
莉子が目を輝かせる。
「なのに果音は普通のテンションだね。あんなイケメンに会えて、ドキドキしないの?」
「うーん……ドキドキしないってことはないけど、わたしの目的はあくまでもショーンっていうか、パパに会うことだし。それに」
二人の顔を思い浮かべる。
「二人とも、話したりご飯食べてるときは普通の中学生男子って感じだよ」
拓斗くんが好き嫌いを言っているところを思い出して、思わずクスッ笑う。
「あー思い出し笑い! なんかあやしい! ずるいよ果音ばっかり〜わたしも二人に会いたーい」
「うん。莉子には何かと協力してもらってるから、今度見学に行けるように二人にお願いしてみるね」
「ほんと!? 果音大好き!」
しっぽがあったらぶんぶんふってそうな、うれしそうな莉子がぎゅーっと抱きついてくる。
「ちょっと、苦しいよ〜!」
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