パパに会いたいだけなのに!
「あ、ところで、いつもこんな風に自主練してるの?」
「ん? うんまあ」
「理澄くんは?」
「あいつはダンスも演技もほどほどでいいって思ってるみたいだから、レッスンだけで帰ってる。あいつはどっちも普通に上手いしな」
「だ、断然拓斗のほうが上手いと思う! なのにこんな風に努力してるなんてえらいよ!」
思わずかぶせるように言ってしまった。
「おう、あ、ありがと……」
ちょっとびっくりされてしまった。でも本当のことだし。
「だけどなんっかしっくりこないんだよなー」
ぼやくように言いながら、拓斗は小さくステップを踏んで、ターンして見せた。
「あれ? それってこの前ショーンに教えてもらってたところ?」
わたしの質問に、拓斗がうなずく。
「それだったら、ショーンはもっと……なんていうか、こんな感じ?」
ショーンのやっていた動きを思い出しながら踊ってみた。
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