パパに会いたいだけなのに!
「拓斗くん、おはよう。今日もいい感じだね。声から感情が伝わってきた」
「レオさんにそう言ってもらえるとすげーうれしいです!」
拓斗が人なつっこい笑顔でうれしそうにレオさんと話している。
レオさんにあこがれて努力してるってわかったから、なんだかわたしまで拓斗がレオさんにほめられているのがうれしくなっちゃう。
「あれ? 果音ちゃん、なんか拓斗見てニコニコしちゃって」
理澄くんはわたしを見てニヤニヤしている。
「な、なに?」
「拓斗と何かあった?」
「もう! 何言ってるの。何もないよ! そんなことより理澄くんはセリフちゃんと覚えてきたの?」
「えーまあ、それなりに」
「理澄くーん、次シーン4だよ。レオさんも入ってください」
拓斗にかわって、理澄くんとレオさんがスタッフに呼ばれて行った。
「おつかれさま」
「おつかれ」
「今日もすごかったね。レオさんが言ってたみたいに、怒ってるのも悲しんでるのも声で伝わってきたよ」
「レオさんにくらべたらまだまだだけど、うれしい。ありがと」
また照れくさそうな拓斗がかわいいって思って「ふふっ」って笑う。
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