パパに会いたいだけなのに!
♪♪♪

ショーンの炎上は数日経っても収まらないどころか、どんどん大ごとになっていった。
「マズいよショーンさん。動画サイトのチャンネル登録者数もどんどん減ってるし」
鳴川さんが青ざめた顔で教えてくれた。
「歌番組も全然呼んでもらえなくなってるようだし。フィリックの次はレッグの新曲リリースだっていうのに」
ショーンがフィリックを歌番組に出させないって意地悪したんだから、自業自得(じごうじとく)ってやつなんじゃないの?
「最近、性格が悪いってウワサになってるし、女の子とのスキャンダルも相変わらずでどんどん人気が落ちていたから、このまま引退なんてことにもなりかねない」
「え……」
「正直事務所としては、フィリックの人気が急上昇しているし今回のことで『フィリック応援します』なんて声もたくさん届いているから、手を焼くレッグよりもフィリックを推したいと思っているんだ」
「そうなんですか」

——『果音も同じ意見?』

拓斗があんな風に聞いてきたのは、きっとこうなるってわかってたからなんだね。
パパかもしれない人が、引退まで追い込まれてもいいの? って。
だけどさすがにあんなに性格が悪いと……。
「うーん」と、腕組みしてどうするべきか悩んでしまう。

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