パパに会いたいだけなのに!
♪♪♪

その日の夜。
「あら、ショーンくんでば炎上しちゃってるのね」
テレビの芸能ニュースを見ていたママが、おせんべいをかじりながら聞き逃せないことを口走った。
「え!? ショーン〝くん〟って、ママ、ショーンと仲良かったの?」
これは一気にショーンがパパだって話が聞けちゃうかも。
「え? うんまあ。同期デビューだったし、よく歌番組で一緒になってたわね」
「えぇ!? レッグとリフレインて同期だったの?」
ママのいたグループとレッグが同期だなんて、これってもうショーンがパパで確定なんじゃない?
「言ったことなかったっけ? ショーンくん、相変わらず性格が悪いのね。この男の子、かわいそうね」
〝その子はわたしなんだけど〟なんて言えないけど、バレてないみたいでひと安心。
「ショーンって、昔からこんな感じだったの?」
「うん。何度か注意したんだけどね、変わらなかったな」
ママの発言から、ショーンとママが親しかったことがうかがえた。
もしかして、ショーンの性格が悪すぎて別れた……とか?
「ダンスはうまいのに、もったいないわよね〜」
ママはのんきにおせんべいをかじったままつぶやいた。
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