パパに会いたいだけなのに!

Stage8 レオさん

モヤモヤした気持ちはあるものの、ショーンのためにできることがあるとも思えないまま、また2日ほどが過ぎた。
この日はドラマの撮影の日だ。
実は今日は朝から準備してきたものがある。
「あの、レオさん」
「あれ? きみはこの間の」
「この前助けてもらったお礼に、お昼にお弁当作ってきたんです。よかったらフィリックの二人と一緒に食べませんか?」
拓斗と理澄くんのもとへ、レオさんを招く。
「あ! レオさん!」
あこがれのレオさんと一緒にお昼が食べられるから、拓斗はとってもうれしそうで、わたしもついニコニコしてしまう。
「ボク、フィリックの二人の料理専門のマネージャーなんです」
「料理専門? 変わってるね」
「果音の料理、すげーウマいんですよ」
「へえ、僕も料理が好きだから楽しみだな」
レオさんは穏やかに笑っている。怒ったら怖そうな人だけど、なんだかすごく安心感をくれる大人って感じがする。
「レオさんが好きな食べ物が全然わからなかったので」
大人の男性の好きなものなんて知らないから、今日のお弁当は前にショーンに作ったのと同じメニューにした。
甘い卵焼きに、チーズハンバーグにポテトサラダ、それにニンジンの炒め物。
「………」
お弁当のフタを開けたレオさんは、中を見てしばらく固まったように黙ってしまった。
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