悪役教師は、平和な学校生活を送りたい
まず初回はオリエンテーションだけで終わり、そろそろ一時間目が始まるため皆はそれぞれの受講科目の場所へと向かっていった。
皆を見送ったディアナは教材をまとめ、教室に鍵を掛けた。
(エルヴィン・シュナイト君を探さないと)
先ほどルッツがエルヴィンについて、昼寝をしていると言っていた。ということは、校内のどこか人気のない場所で時間潰しをしている可能性が高い。
(といっても、まだ校内のことなんてよく分からないのに……)
次に生徒たちと会うのは三時間目の魔法実技だから、それまでに探し出して教室まで連れて行けたら御の字だ。そうでなくても、彼がかたくなに授業をサボろうとする理由だけでも聞ければいい。
そう思いながら廊下を歩いていると、ちょうど医務室の前で女子生徒を見送っているフェルディナントの姿が見えた。
「アルノルト先生」
「……おや、イステル先生。補講時間一回目の手応えはどうだったかな?」
「早速いろいろ起きましたし、一人生徒がいなくて」
「ああ、エルヴィン・シュナイト君のことだね」
白衣のポケットに手を突っ込んだフェルディナントは苦笑して、「彼を探すのかい?」と聞いてきた。
「予想しているかもしれないけれど、彼の授業嫌いは筋金入りだよ」
「その、筋金入りになる理由は分からないのですよね?」
ディアナが問うと、フェルディナントはかすかに目を見開いた。
(……きっと先生方は誰も、シュナイト君が欠席する理由を知らない。……聞こうともしていない)
ならば、まずディアナがするべきなのは――エルヴィン・シュナイトを見つけて、話を聞くことだ。
「……私、彼を探してきます」
「……そっか、頑張って。……今日みたいな天気のいい日はバルコニーとかで過ごすのが気持ちいいかもしれないね」
フェルディナントはそれだけ言うと背を向けて、医務室に入っていった。
皆を見送ったディアナは教材をまとめ、教室に鍵を掛けた。
(エルヴィン・シュナイト君を探さないと)
先ほどルッツがエルヴィンについて、昼寝をしていると言っていた。ということは、校内のどこか人気のない場所で時間潰しをしている可能性が高い。
(といっても、まだ校内のことなんてよく分からないのに……)
次に生徒たちと会うのは三時間目の魔法実技だから、それまでに探し出して教室まで連れて行けたら御の字だ。そうでなくても、彼がかたくなに授業をサボろうとする理由だけでも聞ければいい。
そう思いながら廊下を歩いていると、ちょうど医務室の前で女子生徒を見送っているフェルディナントの姿が見えた。
「アルノルト先生」
「……おや、イステル先生。補講時間一回目の手応えはどうだったかな?」
「早速いろいろ起きましたし、一人生徒がいなくて」
「ああ、エルヴィン・シュナイト君のことだね」
白衣のポケットに手を突っ込んだフェルディナントは苦笑して、「彼を探すのかい?」と聞いてきた。
「予想しているかもしれないけれど、彼の授業嫌いは筋金入りだよ」
「その、筋金入りになる理由は分からないのですよね?」
ディアナが問うと、フェルディナントはかすかに目を見開いた。
(……きっと先生方は誰も、シュナイト君が欠席する理由を知らない。……聞こうともしていない)
ならば、まずディアナがするべきなのは――エルヴィン・シュナイトを見つけて、話を聞くことだ。
「……私、彼を探してきます」
「……そっか、頑張って。……今日みたいな天気のいい日はバルコニーとかで過ごすのが気持ちいいかもしれないね」
フェルディナントはそれだけ言うと背を向けて、医務室に入っていった。