悪役教師は、平和な学校生活を送りたい
「……理由は分かりました」
「えっ、分かったのか?」
「だってそれがあなたの本心でしょう? サボるのはこちらとしては困りますけど、あなたがなぜサボったのかの理由が分かっただけでも、ここまで探しに来たことの意味はあったと思います」

 なぜか驚いた様子で少し目を丸くしたエルヴィンに言うと、彼はまた半眼になった。

「……そうですか。……それじゃあ、あんたが収穫を得られるのはここまでですね」
「……シュナイト君?」
「もう、これからは俺を探さなくていいですから。俺一人を探す時間を、他のやつらのためにあててあげてください。そっちの方が、皆も喜ぶでしょうし」
「そんなことは……」
「いいですよ、遠慮しなくて。……確か同じクラスに、ヴィンデルバンド侯爵家の令嬢もいましたよね。彼女なら、サボり魔なんかよりも自分を鍛えてくれって言いそうじゃないですか?」

 まさにその通りだが努めて顔色に出さないようにしたが、ディアナの心境なんて容易にお察しらしいエルヴィンは薄く微笑んで体を起こした。

「そういうことで、俺はこれからもサボりを続けます。せめて、あんたたちの邪魔だけはしないようにするんで」
「でも……」
「じゃ、ごきげんよう、先生」

 立ち上がったエルヴィンはそう言うと、ディアナの横を通ってバルコニーから出て行ってしまった。
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