悪役教師は、平和な学校生活を送りたい
「それで、先生。グループ課題では魔物退治をするとのことだけど、どんな魔物を倒すことになるのかはいつ分かるのかしら?」
「私も気になったのでアルノルト先生に聞いたのですが、どうやら当日現地に行くまでどんな魔物が課題になるのか、分からないそうです」

 フェルディナント曰く、冬の課題のために毎年生徒たちは王都郊外にある森に行くのだが、生徒たちが戦う魔物はこの森の管理者が事前に捕らえて準備しておくらしい。
 ある程度のことは学校との間で連絡は取られているが、どのグループにどの魔物をあてがうかなどについては明かさないことになっているという。

(そういえばゲームでも冬の試験があって、ヒロインは大型の熊みたいなのと戦うことになったっけ……)

 同級生たちと協力して魔物を倒すこのイベントは、あまりにも授業や魔法の訓練をサボっていると倒せず、「私、だめだったわ……」というヒロインのモノローグに続き画面が暗転、そしてゲームオーバーになってしまう。

(ゲームだと……多分あれって、ヒロインが魔物に殺された、ってことになったのよね……)

 明確な記述はないが十分予想できるし、プレイ当時のネット掲示板では「冬の課題でヒロイン死す」のようなスレッドがあったような気もする。

 ゲームオーバーになった場合も約一ヶ月前に遡ってゲームを再開するという救済措置もあるが、普通にやっていたらなんとかクリアできる程度だった。そもそもヒロインの光属性は魔物相手に特攻扱いなので、やられることの方が難しいくらいだ。

(でも、当たり前だけどこのクラスには光属性の生徒はいない……)

 魔法属性は、ツェツィーリエが雷でエーリカとルッツが土。エルヴィンが風でリュディガーが火、レーネが氷とバランスはいい。そして幸いにも、補講クラスは他の一年生よりも早くグループ試験練習を行える。

「どんな魔物と戦うことになるかは分からないのですが、先生たちから過去の試験結果についてのデータや魔物の情報については教えてもらっています。これらを使って、どんな魔物にも対応できるようにしておきましょう」

 ディアナが言うと、皆元気よく返事をしてくれた。
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