悪役教師は、平和な学校生活を送りたい
「早速だけどおまえには秋休み明けから、一年の『補講クラス』を担任してもらうよ」
「……」
思わず絶句したディアナの正面には、革張りの椅子に偉そうに腰掛ける男性――校長の姿が。
年齢はまだ三十代半ばくらいで若々しいしそれなりのイケメンだが、ディアナが入室したときから足を組んでいたしこちらを小馬鹿にしたような顔をしているので、嫌な予感はしていた。
(ゲームでは、校長の立ち絵はなかったけれど……そういえば、ヒロインは「気さくな人」って感想を抱いていたような)
だが、これは気さくというレベルではなさそうだ。
彼の隣では副校長だという壮年の男性が立っているが、彼は年若い校長をじろっと見下ろしている。どう見ても校長と副校長の仲は良好ではない。
「……あの、校長先生。補講クラスというのは何でしょうか?」
いろいろ気になるところはあるが、まずはこれについて聞かなければ。
(ゲームでも補講クラスなんて言葉、出てきていない……と思うけれど……)
ディアナが問うと、校長はだるそうに副校長に顎先を向けた。おまえが説明しろ、ということだったのだろうか、渋い顔のままの副校長が進み出た。
「……補講クラスとは、五十年前の学校創立時より存在する特殊学級のことです。イステル嬢は本校の教育課程について、どれほどご理解いただいているでしょうか」
「事前にいただいた資料には全て目を通しておりますが、そこには補講クラスなる記載はなかったかと」
まずは状況把握しなければ、ということで資料を必死に読んだし、魔法学校の卒業者からも話を聞いてみた。
スートニエ魔法学校は二年制で、十六歳の生徒が春に入学して十八歳で卒業する。日本製のゲームだからか暦は普通に一月から十二月まであり、四月が入学式で三月が卒業式だ。
受講教科は必須科目として基礎教養、魔法実技、魔法理論、魔法応用の四つがあり、ゲームでは定期試験や進級試験でこの四教科の点数をそれなりに出さないとストーリーを進められなくなる。
なお、馬術や応用教養などの補助科目もあるが、これらは進級などには影響しない。そして今回、氷属性の魔力を持つディアナは魔法実技の講師として仮採用されている。
「……」
思わず絶句したディアナの正面には、革張りの椅子に偉そうに腰掛ける男性――校長の姿が。
年齢はまだ三十代半ばくらいで若々しいしそれなりのイケメンだが、ディアナが入室したときから足を組んでいたしこちらを小馬鹿にしたような顔をしているので、嫌な予感はしていた。
(ゲームでは、校長の立ち絵はなかったけれど……そういえば、ヒロインは「気さくな人」って感想を抱いていたような)
だが、これは気さくというレベルではなさそうだ。
彼の隣では副校長だという壮年の男性が立っているが、彼は年若い校長をじろっと見下ろしている。どう見ても校長と副校長の仲は良好ではない。
「……あの、校長先生。補講クラスというのは何でしょうか?」
いろいろ気になるところはあるが、まずはこれについて聞かなければ。
(ゲームでも補講クラスなんて言葉、出てきていない……と思うけれど……)
ディアナが問うと、校長はだるそうに副校長に顎先を向けた。おまえが説明しろ、ということだったのだろうか、渋い顔のままの副校長が進み出た。
「……補講クラスとは、五十年前の学校創立時より存在する特殊学級のことです。イステル嬢は本校の教育課程について、どれほどご理解いただいているでしょうか」
「事前にいただいた資料には全て目を通しておりますが、そこには補講クラスなる記載はなかったかと」
まずは状況把握しなければ、ということで資料を必死に読んだし、魔法学校の卒業者からも話を聞いてみた。
スートニエ魔法学校は二年制で、十六歳の生徒が春に入学して十八歳で卒業する。日本製のゲームだからか暦は普通に一月から十二月まであり、四月が入学式で三月が卒業式だ。
受講教科は必須科目として基礎教養、魔法実技、魔法理論、魔法応用の四つがあり、ゲームでは定期試験や進級試験でこの四教科の点数をそれなりに出さないとストーリーを進められなくなる。
なお、馬術や応用教養などの補助科目もあるが、これらは進級などには影響しない。そして今回、氷属性の魔力を持つディアナは魔法実技の講師として仮採用されている。