悪役教師は、平和な学校生活を送りたい
結局、この時間の練習で相手に勝ったのはエルヴィン、リュディガー、ツェツィーリエ、レーネの四人で、ルッツとエーリカは負けてしまった。
だが挨拶の後でディアナのもとに駆け寄ってきた六人は皆、すっきりした表情だった。
「先生、わたくしの戦いぶりを見ましたか?」
「先生、先生! 私、勝てましたよ!」
「ま、オレにとっちゃ楽勝だったな」
「僕は、負けたけど……でも、最後まで逃げずに参加できたのは初めてです」
「あたしも負けちゃったけど、今までで一番粘ることができたわ。それに相手の子も、『エーリカがここまでやるとは思わなかった』って言っていたのよ」
「皆……本当によく頑張りました」
順に顔を見て褒めると、少し離れたところに立っていたエルヴィンの姿が目に入った。ディアナと目が合うと、彼は少し気まずそうに視線を逸らす。
(……彼だけは私の補講を受けたわけじゃないから、近づくのはちょっと遠慮してしまうかもね……)
だが。
「シュナイト君も、来てください」
「……だが、先生。俺は……」
「ちょっと、なに格好付けてるのよ」
「そうよ。あなた、あの口の悪い男を吹っ飛ばしてくれたでしょう? わたくし、それを見てとてもすっきりしましたの!」
「えっと……いいんじゃないかな、こっちに来ても。君が補講クラスとして試合に勝ったのは事実だし」
「そうよ、ねぇリュディガー?」
「そうそう。ほら、先生も待ってるだろ?」
皆に言われたエルヴィンはまだ少し迷っていた様子だったが、やがておずおずと近づいてきた。
「先生、その……勝ちました」
「ええ、見ていましたよ。……あなたは一度、相手の攻撃をかわすのをやめましたよね? あれは……背後にいた別の生徒を守るためだったのでしょう?」
ディアナが指摘すると、エルヴィンは目を丸くした。そしてそっぽを向き、「べつに」とぼやく。
「ただ、他人を巻き添えにするのが嫌だっただけで……守るなんてものじゃない」
「おまえ、本当に素直じゃないよなぁー」
「うっさいな」
またしてもエルヴィンとリュディガーが頭を小突き合い、周りの皆も笑顔でそれを見守っていた。
(……きっと、うまくいく)
十二月半ばに控える、冬のグループ試験。
この六人ならきっと、乗り越えていける。
だが挨拶の後でディアナのもとに駆け寄ってきた六人は皆、すっきりした表情だった。
「先生、わたくしの戦いぶりを見ましたか?」
「先生、先生! 私、勝てましたよ!」
「ま、オレにとっちゃ楽勝だったな」
「僕は、負けたけど……でも、最後まで逃げずに参加できたのは初めてです」
「あたしも負けちゃったけど、今までで一番粘ることができたわ。それに相手の子も、『エーリカがここまでやるとは思わなかった』って言っていたのよ」
「皆……本当によく頑張りました」
順に顔を見て褒めると、少し離れたところに立っていたエルヴィンの姿が目に入った。ディアナと目が合うと、彼は少し気まずそうに視線を逸らす。
(……彼だけは私の補講を受けたわけじゃないから、近づくのはちょっと遠慮してしまうかもね……)
だが。
「シュナイト君も、来てください」
「……だが、先生。俺は……」
「ちょっと、なに格好付けてるのよ」
「そうよ。あなた、あの口の悪い男を吹っ飛ばしてくれたでしょう? わたくし、それを見てとてもすっきりしましたの!」
「えっと……いいんじゃないかな、こっちに来ても。君が補講クラスとして試合に勝ったのは事実だし」
「そうよ、ねぇリュディガー?」
「そうそう。ほら、先生も待ってるだろ?」
皆に言われたエルヴィンはまだ少し迷っていた様子だったが、やがておずおずと近づいてきた。
「先生、その……勝ちました」
「ええ、見ていましたよ。……あなたは一度、相手の攻撃をかわすのをやめましたよね? あれは……背後にいた別の生徒を守るためだったのでしょう?」
ディアナが指摘すると、エルヴィンは目を丸くした。そしてそっぽを向き、「べつに」とぼやく。
「ただ、他人を巻き添えにするのが嫌だっただけで……守るなんてものじゃない」
「おまえ、本当に素直じゃないよなぁー」
「うっさいな」
またしてもエルヴィンとリュディガーが頭を小突き合い、周りの皆も笑顔でそれを見守っていた。
(……きっと、うまくいく)
十二月半ばに控える、冬のグループ試験。
この六人ならきっと、乗り越えていける。