悪役教師は、平和な学校生活を送りたい
リュディガーが象魔物に向き直り、魔法剣の先端から紅蓮の炎を放った。
炎は象魔物の鼻の中程に命中して、黒い魔物は悲鳴を上げる。すぐさまリュディガーは地面を蹴り、大剣の一閃で象魔物の鼻を切り落とした。
ギャアアア、とすさまじい悲鳴がディアナの全身を震わせる。切り飛ばされた鼻の先端がぼわっとかすむように消えた直後、体調が落ち着いたらしいレーネが立ち上がって剣先から氷の刃を放った。
鋭い氷の矢が、象魔物の左目に命中する。魔物はとどろくような声を上げて、がっくりと膝をついた。
「……よし! ルッツ、エーリカ。落ち着いて、もっとあの魔物の足下を沈めろ!」
「う、うん!」
「はい!」
「ツェツィーリエ、一発かましてやれよ!」
「お、お任せなさい!」
土属性でべこっと地面が波打ち、象魔物の体が沈む。じたばたもがく前足がリュディガーとレーネの魔法で阻まれ、ツェツィーリエが立ち上がった。
「リュディガー、レーネ、避けて!」
ツェツィーリエが大声を上げて、細身の魔法剣を振り上げた。白い稲光がとどろき、弾け――鼓膜をつんざくような音を立てて、象魔物の脳天に命中してそのまま顎下まで貫通した。
白く光る雷の槍はまだバチバチと音を立てながら残っており、象魔物はガフッと音を立てて巨体をぐらつかせると、そのまま地面に倒れた。
その拍子に土と雪の交じった泥がはねてリュディガーたちの服を汚したが、ディアナはほっとして体の力を抜いた。
(よ、よかった! 倒せた……!)
「先生、やりましたよ!」
光の壁の向こうで、生徒たちが拳を握っている。隣のフェルディナントも満足そうに「よかったね」と言い、試験監督の教師たちも頷いて光の壁を解除しようとした――
(……え?)
お互いの体を助け起こして、喜びに浸る生徒たち。
その背後で、一時は光の失せた魔物の目がぎらり、と赤く輝いた。
炎は象魔物の鼻の中程に命中して、黒い魔物は悲鳴を上げる。すぐさまリュディガーは地面を蹴り、大剣の一閃で象魔物の鼻を切り落とした。
ギャアアア、とすさまじい悲鳴がディアナの全身を震わせる。切り飛ばされた鼻の先端がぼわっとかすむように消えた直後、体調が落ち着いたらしいレーネが立ち上がって剣先から氷の刃を放った。
鋭い氷の矢が、象魔物の左目に命中する。魔物はとどろくような声を上げて、がっくりと膝をついた。
「……よし! ルッツ、エーリカ。落ち着いて、もっとあの魔物の足下を沈めろ!」
「う、うん!」
「はい!」
「ツェツィーリエ、一発かましてやれよ!」
「お、お任せなさい!」
土属性でべこっと地面が波打ち、象魔物の体が沈む。じたばたもがく前足がリュディガーとレーネの魔法で阻まれ、ツェツィーリエが立ち上がった。
「リュディガー、レーネ、避けて!」
ツェツィーリエが大声を上げて、細身の魔法剣を振り上げた。白い稲光がとどろき、弾け――鼓膜をつんざくような音を立てて、象魔物の脳天に命中してそのまま顎下まで貫通した。
白く光る雷の槍はまだバチバチと音を立てながら残っており、象魔物はガフッと音を立てて巨体をぐらつかせると、そのまま地面に倒れた。
その拍子に土と雪の交じった泥がはねてリュディガーたちの服を汚したが、ディアナはほっとして体の力を抜いた。
(よ、よかった! 倒せた……!)
「先生、やりましたよ!」
光の壁の向こうで、生徒たちが拳を握っている。隣のフェルディナントも満足そうに「よかったね」と言い、試験監督の教師たちも頷いて光の壁を解除しようとした――
(……え?)
お互いの体を助け起こして、喜びに浸る生徒たち。
その背後で、一時は光の失せた魔物の目がぎらり、と赤く輝いた。