御曹司からの愛を過剰摂取したらお別れするのが辛くなります!
初夜のやり直し
碧唯さんとの生活は決して、寂しいだけではなかった。でも――
「凜々子、明日辺りに結婚指輪を作りに行く」
「もう、そんな時期なんですね」
夜遅くに帰宅した碧唯さんは突然として、そんなことを言い出した。
挙式の日取りは九月中旬だが、現在は六月中旬なのでちょうど三ヶ月前になるタイミングだ。挙式の日取りが決定した時に結婚指輪の話もしていて、それまでに作ることにしようという話になっていた。三ヶ月前なので、そろそろ作らなければいけない時期か……。
本来ならば待ちに待って喜ばしいことなのだが、私は乗り気ではない。
碧唯さんの友人たちが来てから二週間が経過しようとした時に、そんなことを言われた。私のことを友人に紹介してもらって嬉しかったけれど、何だか虚しかった。
偽りの妻に結婚指輪などいるのだろうか?
そもそも入籍もしないのに早めに同居を始めた理由は何なのか……。入籍をしないつもりならば、挙式前からでも良かったのでは? と考えてしまう。
「あの……」
碧唯さんのスーツのジャケットを預かり、ハンガーにかけてきた後に話しかける。碧唯さんはお疲れのようでリビングにあるダイニングテーブルの椅子に座り、手で覆い隠しながらあくびをしていた。
「何だ?」
私は先に夕食を済ませたので、碧唯さんの分を温めなおしている。その時に思い切って聞くことにした。
「こんなことを言ったら駄目だと思うのですが……」
入籍をしないままならば、挙式もしない方が良いに決まっている。それに加えて、結婚指輪も必要ないのだ。左手の薬指に嵌めている婚約指輪も、ダイヤモンドが無理して輝いているような感覚に陥る。婚約指輪もただのお飾りにすぎないのだ。
「私たちは入籍もしてませんし、挙式も延期にしませんか? まだ間に合うと思うんです」
私は温めた夕食をテーブルに並べながら、碧唯さんに問う。すると碧唯さんは暗い顔をし始めた。
「……凜々子」
「はい?」
「夕食は済ませたと思うが、一緒に座って話をしないか」
碧唯さんに言われたがまま、正面の位置の椅子に私も座る。
「凜々子、明日辺りに結婚指輪を作りに行く」
「もう、そんな時期なんですね」
夜遅くに帰宅した碧唯さんは突然として、そんなことを言い出した。
挙式の日取りは九月中旬だが、現在は六月中旬なのでちょうど三ヶ月前になるタイミングだ。挙式の日取りが決定した時に結婚指輪の話もしていて、それまでに作ることにしようという話になっていた。三ヶ月前なので、そろそろ作らなければいけない時期か……。
本来ならば待ちに待って喜ばしいことなのだが、私は乗り気ではない。
碧唯さんの友人たちが来てから二週間が経過しようとした時に、そんなことを言われた。私のことを友人に紹介してもらって嬉しかったけれど、何だか虚しかった。
偽りの妻に結婚指輪などいるのだろうか?
そもそも入籍もしないのに早めに同居を始めた理由は何なのか……。入籍をしないつもりならば、挙式前からでも良かったのでは? と考えてしまう。
「あの……」
碧唯さんのスーツのジャケットを預かり、ハンガーにかけてきた後に話しかける。碧唯さんはお疲れのようでリビングにあるダイニングテーブルの椅子に座り、手で覆い隠しながらあくびをしていた。
「何だ?」
私は先に夕食を済ませたので、碧唯さんの分を温めなおしている。その時に思い切って聞くことにした。
「こんなことを言ったら駄目だと思うのですが……」
入籍をしないままならば、挙式もしない方が良いに決まっている。それに加えて、結婚指輪も必要ないのだ。左手の薬指に嵌めている婚約指輪も、ダイヤモンドが無理して輝いているような感覚に陥る。婚約指輪もただのお飾りにすぎないのだ。
「私たちは入籍もしてませんし、挙式も延期にしませんか? まだ間に合うと思うんです」
私は温めた夕食をテーブルに並べながら、碧唯さんに問う。すると碧唯さんは暗い顔をし始めた。
「……凜々子」
「はい?」
「夕食は済ませたと思うが、一緒に座って話をしないか」
碧唯さんに言われたがまま、正面の位置の椅子に私も座る。