御曹司からの愛を過剰摂取したらお別れするのが辛くなります!
「凜々子の気持ちを聞いてもいいか? 凜々子は今後どうしたい?」
碧唯さんは私の返事を待つ間に「いただきます」と言ってから、湯気のでている味噌汁を一口飲んだ。
私の本心は碧唯さんのことをもっと知りたいし、できれば入籍をして本当の妻として迎えてほしい。けれども、そのことを口に出したら今まで築いてきた関係も生活もなくなってしまうかもしれない。怖くて聞くことができず、黙りになってしまう。
「凜々子に言われて目が覚めた。凜々子の言う通り、挙式を上げる前ならば、まだ引き返せる。親戚一同や会社関係にも夫婦として認められれば、跡継ぎのことも聞かれるだろう」
「そう、ですね……」
入籍もしてなければ、プラトニックな関係のままならば子どもができることはまず有り得ない。お互いの両親からも孫をせがまれるかもしれない。
「今のままだと厳しくなる。だから……」
次の瞬間に碧唯さんにお断りされるのかもしれない。それならば、私も聞きたいことを聞こう。聞かないままにして後悔したくないから。
「ごめんなさい、少しだけ考える時間をください! お風呂をお先にいただきます」
私はリビングに碧唯さんを一人残して、浴室へと向かった。仕事で疲れて帰ってきた碧唯さんよりも先にお風呂に入るのは気が引けて、いつも後から入っていたが今日だけは先に入りたい。お風呂に入りながら、自分の考えをまとめなくてはいけないから――
お風呂から上がると夕食の食器は綺麗に片付けられていて、碧唯さんはお湯を沸かしていた。
「お仕事でつかれているのに片付けていただき、ありがとうございます」
「何度も言うが、機械が洗っているだけだから気にするな」
ティーポットに沸かしてのお湯を高い位置から注ぐと、アールグレイの良い香りがふんわりと漂ってくる。
「考えはまとまったか?」
碧唯さんはテーブルにティーポットとマグカップ二つを置く。マグカップは碧唯さんとお揃いのもので、毎日使用している。
「その前にお聞きしたいことがあります」
「分かった。とりあえず、座って話そう」
私は両肩にタオルをかけて、半乾きの髪のままで椅子に座る。碧唯さんは初めて右隣に座ってきて、私の鼓動は落ち着かなくなる。
「どうぞ、話してみて」
「あの日に聞いたことですが……」
私は勇気を振り絞り、胸の内をさらけ出そうとした。
「みちるさんが貴方と二年前まで付き合ってたって言ってました。本当はみちるさんを愛してるんですよね? だから、私とは入籍しないんですよね?」
私は話していく内に感情が昂り、思いのままに碧唯さんに気持ちをぶつけた。偽りの妻としてでも良いと思っていたけれど、もう限界だ。
お祝い会の日に片岡さんから私がいない間にそわそわしていたと聞いたけれど、それはただ単にお祝いの会の最中に碧唯さんの友人たちに接待せずに飛び出したからだよね? 決して心配だったわけではない。
碧唯さんを好きになってしまえば、この関係は終わりになる。だから、好きにならないようにセーブをかける。愛されないのならば、好きになっても辛いだけだから……。
「それは違う。会う度にみちるが復縁を迫ってくるだけで、好きではない。出会った当初は天真爛漫で可愛かったのだが、次第にわがままがすぎて……百年の恋も覚めた感じだった。実際には、大学一年から二年の間にしか付き合ってはいない」
碧唯さんは珍しく、自分のことを語り始めた。
「今から言うことは、聞き流してくれてもかまわない。実は見合い前に俺は凜々子に会ったことがある」
「え?」
それはいつなのだろうか?
碧唯さんは私の返事を待つ間に「いただきます」と言ってから、湯気のでている味噌汁を一口飲んだ。
私の本心は碧唯さんのことをもっと知りたいし、できれば入籍をして本当の妻として迎えてほしい。けれども、そのことを口に出したら今まで築いてきた関係も生活もなくなってしまうかもしれない。怖くて聞くことができず、黙りになってしまう。
「凜々子に言われて目が覚めた。凜々子の言う通り、挙式を上げる前ならば、まだ引き返せる。親戚一同や会社関係にも夫婦として認められれば、跡継ぎのことも聞かれるだろう」
「そう、ですね……」
入籍もしてなければ、プラトニックな関係のままならば子どもができることはまず有り得ない。お互いの両親からも孫をせがまれるかもしれない。
「今のままだと厳しくなる。だから……」
次の瞬間に碧唯さんにお断りされるのかもしれない。それならば、私も聞きたいことを聞こう。聞かないままにして後悔したくないから。
「ごめんなさい、少しだけ考える時間をください! お風呂をお先にいただきます」
私はリビングに碧唯さんを一人残して、浴室へと向かった。仕事で疲れて帰ってきた碧唯さんよりも先にお風呂に入るのは気が引けて、いつも後から入っていたが今日だけは先に入りたい。お風呂に入りながら、自分の考えをまとめなくてはいけないから――
お風呂から上がると夕食の食器は綺麗に片付けられていて、碧唯さんはお湯を沸かしていた。
「お仕事でつかれているのに片付けていただき、ありがとうございます」
「何度も言うが、機械が洗っているだけだから気にするな」
ティーポットに沸かしてのお湯を高い位置から注ぐと、アールグレイの良い香りがふんわりと漂ってくる。
「考えはまとまったか?」
碧唯さんはテーブルにティーポットとマグカップ二つを置く。マグカップは碧唯さんとお揃いのもので、毎日使用している。
「その前にお聞きしたいことがあります」
「分かった。とりあえず、座って話そう」
私は両肩にタオルをかけて、半乾きの髪のままで椅子に座る。碧唯さんは初めて右隣に座ってきて、私の鼓動は落ち着かなくなる。
「どうぞ、話してみて」
「あの日に聞いたことですが……」
私は勇気を振り絞り、胸の内をさらけ出そうとした。
「みちるさんが貴方と二年前まで付き合ってたって言ってました。本当はみちるさんを愛してるんですよね? だから、私とは入籍しないんですよね?」
私は話していく内に感情が昂り、思いのままに碧唯さんに気持ちをぶつけた。偽りの妻としてでも良いと思っていたけれど、もう限界だ。
お祝い会の日に片岡さんから私がいない間にそわそわしていたと聞いたけれど、それはただ単にお祝いの会の最中に碧唯さんの友人たちに接待せずに飛び出したからだよね? 決して心配だったわけではない。
碧唯さんを好きになってしまえば、この関係は終わりになる。だから、好きにならないようにセーブをかける。愛されないのならば、好きになっても辛いだけだから……。
「それは違う。会う度にみちるが復縁を迫ってくるだけで、好きではない。出会った当初は天真爛漫で可愛かったのだが、次第にわがままがすぎて……百年の恋も覚めた感じだった。実際には、大学一年から二年の間にしか付き合ってはいない」
碧唯さんは珍しく、自分のことを語り始めた。
「今から言うことは、聞き流してくれてもかまわない。実は見合い前に俺は凜々子に会ったことがある」
「え?」
それはいつなのだろうか?