御曹司からの愛を過剰摂取したらお別れするのが辛くなります!
「一生、大切にする。俺と結婚していただけませんか?」
「……は、ふぁい」
 両頬がホールドされていて上手く返事ができない。私は上手く碧唯さんに丸め込まれたような気もするが、今までとは違う結婚生活になりそうだ。

「凜々子を後悔させないためにも、俺も尽くすから」
 碧唯さんに初めて抱きしめられる。私は自分の両手の置き場所に困ったいたが、何となく碧唯さんの背中に回してみる。

「凜々子、もう離さないからな」
 私は戸惑うばかりで、どう返したら良いのかが分からなかった。冷めてしまった紅茶を飲みながら、ドキドキしている心臓を落ち着かせたいと願う。この後に碧唯さんは浴室へと向かったのだが、お風呂上がりにどう接したら良いのかが分からない。
 気持ちが通じ合ってからは、夫婦としてどうしたら良いのだろうか?

 わだかまりが溶けた私たちは新婚生活を再スタートさせるべく、いつものように一緒にベッドに入る。
「結婚指輪のことだが、ショップに行くのは明日でいいか?」
「……はい」
 普段は背中合わせで布団に入り、お互いにおやすみの挨拶しかしない状態で眠りについていたのだが、今日は違う。碧唯さんから話しかけてきて、私の心臓はドキドキしっぱなしで壊れてしまいそう。

「何時に出かける? ついでにデートもしようか」
「で、で、デートですか?」
「そう、デート。凜々子と一緒に水族館に行ったり、カフェに行ったりしてもいい。ホテルのランチにでも行くか?」
 いつもの碧唯さんじゃないみたい。甘いマスクで私に言い寄ってくるし、表情も無愛想でばなく穏やかな顔をしている。流し目で私を見て顔を覗き込んできた。

「ち、近付きすぎです……!」
 恋愛経験値がない私は、碧唯さんに急接近されると対応できない。
「反応が可愛いな、凜々子は」
 碧唯さんはクスクスと笑っている。

「行先は明日でもかまわない。とりあえず、寝よう」
 いつものように碧唯さんは背中を向けず、私の方を向いて横になっている。

「……あの、寝る前に一つ聞いてもいいですか?」
 聞くのは今しかない、と思って覚悟を決めて切り出した。
「あぁ、どうした?」
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