御曹司からの愛を過剰摂取したらお別れするのが辛くなります!
「碧唯さん、片付けもありがとうございます」
「……気にするな」
「あ、あの……! 怒ってますか?」
単刀直入に聞いた方が、碧唯さんには良いと知ったのでそうしてみる。
「別にそんなことはない」
食器洗浄機に食器を入れながら、ふいっと横を向いてしまう碧唯さん。やはり、視線を急に逸らしたから怒ってるんだ。
「私は……碧唯さんともっとお話がしたいです」
碧唯さんが着ているルームウェアの裾をキュッと掴む。すると、こちらを向いて……。
「……んっ」
突然として、碧唯さんから唇を塞がれた。
「初々しい反応がいちいち可愛くて、俺には耐えられないだけだから気にするな」
「……え? そんなことってありますか?」
「ある。対処方法は一つしかない」
「きゃっ……! え、ちょっと?」
碧唯さんは朝食で使用した食器を全て食器洗浄機に入れた後、私を抱きかかえて寝室まで移動した。
「今まで我慢した分、凜々子には妻としての責任をとってもらいたい」
「朝なのに?」
「朝も夜も関係ない。凜々子を愛したいだけだ。片想いじゃないってことを証明してほしい」
碧唯さんに組み敷かれ、私は胸がドキドキして張り裂けそうだった。彼曰く、私を好きだと自覚したら、気持ちも行動も止められなくなったみたいだ。
「碧唯さんは悪い人、ですね。私のことを振り回すだけ振り回して、挙げ句の果てに片想いかもしれないなんて言い出すし……!」
「めんどくさいって言いたいんだろ?」
碧唯さんはクスクスと笑いながら、私のルームウェアのボタンに指をかけていく。
「もう、遠回りに振り回すのはやめてくださいね。私、まわりくどいのはあまり好きではありませんから!」
「……覚えとく」
「それから……」
この際だから、ずっと疑問に思ってたことを聞いてしまおう。
「挙式は九月なので、同居もその頃からで良かったのでは?」
「それは……以前にも話したが、入籍や挙式前に凜々子が俺に愛想を尽かすかもしれないから試しの結婚生活をした方が良いと思ったのと……」
碧唯さんは私のルームウェアのトップスを脱がしながら、「ただ単に俺が凜々子と過ごしたかったからだ」
と言った。
「つまり、俺の都合だな」
ニヤッとした笑みを浮かべながら、私の素肌に触れていく碧唯さん。
「俺は凜々子が思う通りの自分勝手な嫌な奴だから」
「……ぅー」
優しいけれど、碧唯さんは自分勝手な人だ。それは私も否定しない。
「良い面も嫌な面も、全て受け入れてほしい」
碧唯さんは私の額から頬、頬から唇へとキスを落としていく。
今までとは違うギャップもあり、今後の結婚生活において身が持たなそう。
これからも碧唯さんには振り回されつつ、私も振り回したい。偽りの妻として悩んだ分、碧唯さんにも悩んでもらう。
以前から惹かれていたけれど、入籍するのはもう少しお預けにしたい。もう少しだけ、この目の前にいる自分勝手な悪い人に追いかけてもらいたいから――
挙式までの三ヶ月、本当の夫婦になるまでは両片思いみたいな歪な偽り婚を楽しみましょう。
END
「……気にするな」
「あ、あの……! 怒ってますか?」
単刀直入に聞いた方が、碧唯さんには良いと知ったのでそうしてみる。
「別にそんなことはない」
食器洗浄機に食器を入れながら、ふいっと横を向いてしまう碧唯さん。やはり、視線を急に逸らしたから怒ってるんだ。
「私は……碧唯さんともっとお話がしたいです」
碧唯さんが着ているルームウェアの裾をキュッと掴む。すると、こちらを向いて……。
「……んっ」
突然として、碧唯さんから唇を塞がれた。
「初々しい反応がいちいち可愛くて、俺には耐えられないだけだから気にするな」
「……え? そんなことってありますか?」
「ある。対処方法は一つしかない」
「きゃっ……! え、ちょっと?」
碧唯さんは朝食で使用した食器を全て食器洗浄機に入れた後、私を抱きかかえて寝室まで移動した。
「今まで我慢した分、凜々子には妻としての責任をとってもらいたい」
「朝なのに?」
「朝も夜も関係ない。凜々子を愛したいだけだ。片想いじゃないってことを証明してほしい」
碧唯さんに組み敷かれ、私は胸がドキドキして張り裂けそうだった。彼曰く、私を好きだと自覚したら、気持ちも行動も止められなくなったみたいだ。
「碧唯さんは悪い人、ですね。私のことを振り回すだけ振り回して、挙げ句の果てに片想いかもしれないなんて言い出すし……!」
「めんどくさいって言いたいんだろ?」
碧唯さんはクスクスと笑いながら、私のルームウェアのボタンに指をかけていく。
「もう、遠回りに振り回すのはやめてくださいね。私、まわりくどいのはあまり好きではありませんから!」
「……覚えとく」
「それから……」
この際だから、ずっと疑問に思ってたことを聞いてしまおう。
「挙式は九月なので、同居もその頃からで良かったのでは?」
「それは……以前にも話したが、入籍や挙式前に凜々子が俺に愛想を尽かすかもしれないから試しの結婚生活をした方が良いと思ったのと……」
碧唯さんは私のルームウェアのトップスを脱がしながら、「ただ単に俺が凜々子と過ごしたかったからだ」
と言った。
「つまり、俺の都合だな」
ニヤッとした笑みを浮かべながら、私の素肌に触れていく碧唯さん。
「俺は凜々子が思う通りの自分勝手な嫌な奴だから」
「……ぅー」
優しいけれど、碧唯さんは自分勝手な人だ。それは私も否定しない。
「良い面も嫌な面も、全て受け入れてほしい」
碧唯さんは私の額から頬、頬から唇へとキスを落としていく。
今までとは違うギャップもあり、今後の結婚生活において身が持たなそう。
これからも碧唯さんには振り回されつつ、私も振り回したい。偽りの妻として悩んだ分、碧唯さんにも悩んでもらう。
以前から惹かれていたけれど、入籍するのはもう少しお預けにしたい。もう少しだけ、この目の前にいる自分勝手な悪い人に追いかけてもらいたいから――
挙式までの三ヶ月、本当の夫婦になるまでは両片思いみたいな歪な偽り婚を楽しみましょう。
END