御曹司からの愛を過剰摂取したらお別れするのが辛くなります!
「俺がチーズハンバーグに目玉焼き乗せが好きなことは、宮野内グループの品位を下げているか?」
「いえ、そんなことはないです」
「違うならば、凜々子は今まで通りの自分で通せ。俺もそうするし、そうしたことで分かり合えないのならばその時は致し方ない」

 碧唯さんは無愛想だけれども優しいと思う。回りくどい言い方や態度をしても、私を気遣ってくれているのが充分に分かるから。
 私は緊張しながらもハンバーグランチを食べ終え、お腹が満腹になった。

 ランチ後は私の要望したお揃いのカップを探しに行くことになった。
「お客様用なら白いコーヒーカップも素敵ですが、普段使いにするものは明るい色が良いです」

 碧唯さんと高級食器店をまず見てきたのだが、自分が思うような品物はなく、女性たちから大人気の雑貨店で探すことになった。私も全国展開しているこの雑貨店が大好きで、他の店舗には良く足を運んでいる。

「くすみカラーの水色とか緑のカップが可愛いです。あ! うさぎが描いてあるのがある!」
「……うさぎ」
 流石にうさぎはないか。自分だけだったら即決したかもしれないが、碧唯さんが使用するのは抵抗があるだろう。

「コレにします!」
 悩んだ結果、くすみカラーの水色のコーヒーカップにした。シンプルだし、とても使い勝手が良さそう。
「うさぎはいいのか?」
「……はい」
 うさぎのコーヒーカップは可愛かったけれど、碧唯さんと一緒に使うには子供っぽいし、男性はきっと好みじゃないはずだから。

 その後、碧唯さんは無言のままで立ち去り、レジ前で合流した。
「え? それも購入するんですか?」
「……する」

 碧唯さんがレジに持ってきたのは、スープカップの真ん中にうさぎが描かれているものだった。一番初めに見たうさぎのコーヒーカップと同じシリーズだが、デザインが違うもの。スープを飲み干さない限りはうさぎが見えないタイプだ。

「碧唯さん、ありがとうございます!」
 レジで購入を済ませた碧唯さんは、ショップの紙袋を左手に持ちながら早歩きでお店から出て行く。私は置いていかれないように小走りで追いかけた。
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